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よーかん
当サイトは、子どもの頃にクワガタに憧れていた筆者が、クワガタの種類・特徴や飼育方法などを中心に、初心者や親子でも楽しめる内容をお届け。本業ではケアマネジャーという相談業務に長年携わっており、人に伝えること・正確な情報を調べることが得意です。
クワガタ好きな子供やファンの方に記事がお役に立てば嬉しいです!
オオクワガタとヒラタクワガタは、日本国内で特に人気のあるクワガタムシですが、その姿かたちや性格、生息域などには意外と多くの違いがあります。
オオクワガタとヒラタクワガタの違いが気になるという方は、これら2種のクワガタについて詳しく比較し、自分に合った一匹を選びたいと考えているのではないでしょうか。
本記事では、オスとメスの見分け方をはじめ、大きさや寿命、性格の傾向、生息域や環境の違い、さらには飼育のしやすさや繁殖の向き不向きなど、実際に飼う上で役立つ視点から2種を詳しく解説していきます。
また、「どっちが強いのか?」という興味をそそる比較や、自然界における交雑の可能性、流通価格の相場に関する値段の違いについても取り上げ、実用的かつわかりやすくまとめました。
さらに、「子供向け・初心者向けならどっちがよいのか?」という観点でも、飼いやすさや扱いやすさの違いを丁寧に比較しています。

これからクワガタを飼ってみたい方、すでにどちらかを飼っていて違いを知りたい方、どちらを選ぶべきか迷っている方にとって、この記事がお役に立てれば幸いです。
- オオクワガタとヒラタクワガタの見た目や性格の違いを理解できる
- 生息域や環境、寿命など生活習性の違いを把握できる
- 飼育や繁殖における向き不向きがわかる
- 値段や流通性など市場価値の違いを比較できる
オオクワガタとヒラタクワガタの違いを解説


- 見た目の違いと見分け方
- オオクワガタとヒラタクワガタのメスの見分け方
- オオクワガタとヒラタクワガタの大きさの違い
- 幼虫の違いと見分け方
- 生息域と環境の違いとは
- 交雑は可能?オオクワとヒラタの関係性
見た目の違いと見分け方
比較ポイント | オオクワガタ | ヒラタクワガタ |
---|---|---|
大あごの形 | 太く、緩やかに湾曲し力強い | 鋭く内側に湾曲し、横に張り出す |
体型 | やや太く丸みがあり、どっしりとした印象 | 扁平で横に広がり、地面に張り付くような形 |
前胸部の形 | 丸みがあり滑らかなカーブ | 角ばっていて直線的なライン |
色味 | 光沢のある黒、艶が強め | マットな質感で落ち着いた黒 |
オオクワガタとヒラタクワガタの見た目には、注意深く観察すればわかる明確な違いがあります。
まず、最も目を引くのが「大あごの形状」です。オオクワガタの大あごは比較的太く、緩やかに湾曲しており、力強さと丸みを感じさせます。一方、ヒラタクワガタの大あごは鋭く内側に湾曲し、先端が尖っているのが特徴です。さらに、ヒラタクワガタの大あごは横に張り出しており、名前の通り「平たく」見えることが多いです。
次に注目すべきは「体型の違い」です。オオクワガタは体全体がやや太く、ずっしりとした印象です。背中に丸みがあり、全体的にどっしりとした安定感があります。反対に、ヒラタクワガタは名前の通り体が扁平で、横に広がったような姿をしています。地面に張り付くようなシルエットで、木の隙間などに潜り込むのが得意な構造です。
また、「胸部(前胸部)の形状」も見分けるポイントになります。オオクワガタの前胸部は丸みがあり、滑らかなカーブを描いていますが、ヒラタクワガタの前胸部は角ばっており、直線的なラインが目立ちます。この部分の違いは慣れてくると見分けやすくなるでしょう。
色味についてもわずかな違いがあります。どちらも基本的には黒色ですが、オオクワガタの方がやや艶があり、光沢のある黒に近いのに対して、ヒラタクワガタはマットな質感を持つ個体が多い傾向にあります。ただし、光の当たり方や個体差もあるため、色だけでの判断は難しいかもしれません。



こうした見た目のポイントを一つずつチェックすることで、オオクワガタとヒラタクワガタを的確に見分けることができます。初めての方でも、大あごの形と体型の違いを中心に観察すれば、おおよその判別ができるでしょう。
オオクワガタとヒラタクワガタのメスの見分け方


比較ポイント | オオクワガタのメス | ヒラタクワガタのメス |
---|---|---|
体の幅と厚み | 丸みがあり、体幅が広く寸胴な印象 | 扁平で背中が平ら、横に広がった体型 |
頭部の形状 | 丸みを帯び、全体的に滑らか | 角ばっていて平面的な形状 |
脚の長さと太さ | 比較的短めでバランスの取れた体型 | 脚が長く前脚が太く、張り付くように歩く |
見分けやすさ | 個体差あり、初心者にはやや難易度高 | やや平たい体型などで見分けやすい傾向 |
オオクワガタとヒラタクワガタのメスは、オスほどの顕著な違いが見られないため、見分けが非常に難しいことで知られています。
しかし、いくつかの特徴を押さえて観察することで、判別の精度を上げることができます。
まず注目したいのが「体の幅と厚み」です。オオクワガタのメスは全体的にふっくらと丸みがあり、体幅が広めです。特に胸部から腹部にかけてのラインがなだらかで、やや寸胴な印象を与えます。
対して、ヒラタクワガタのメスは体が扁平で横に広がったように見えるため、背中が平らで薄い印象になります。前述の通り、ヒラタクワガタの特徴である「平たさ」はメスにも現れるため、ここが一つの判断材料です。
次に、「頭部の形状」にも注目してください。オオクワガタのメスは頭部が丸みを帯び、全体的に滑らかな印象です。一方、ヒラタクワガタのメスは頭部がやや角ばっていて、平面的な形状をしています。この違いは光を当てながら観察するとより分かりやすくなるでしょう。
「脚の長さと太さ」も確認しておくと良いポイントです。ヒラタクワガタのメスは脚が長く、特に前脚がしっかりしており、地面に張り付くように歩く特徴があります。オオクワガタのメスはそれに比べると脚がやや短く、体に対してバランスの取れた印象を持っています。
ただし、これらの違いは個体差があるため、1つの特徴だけで断定するのは避けましょう。できれば複数の要素を組み合わせて判断するのが確実です。



このように、メスの見分けにはコツと慣れが必要ですが、焦らずじっくり観察すればオオクワガタとヒラタクワガタの違いを感じ取ることができるようになります。
オオクワガタとヒラタクワガタの大きさの違い
オオクワガタとヒラタクワガタは、どちらも日本を代表する人気のクワガタムシですが、実は「最大サイズ」に注目すると、その印象が大きく変わってきます。
名前からするとオオクワガタの方が大きいイメージを持たれがちですが、実際にはヒラタクワガタの方が全長で上回ることも珍しくありません。
まずオオクワガタの成虫は、一般的にオスで60〜75mm前後の個体が多く、特別に大型とされるものでも80mm台が限界とされています。
一方でヒラタクワガタは、地域差が大きいものの、南西諸島産の亜種を含めると90mmを超える個体も確認されています。つまり「長さ」だけを比べると、ヒラタクワガタの方が大型になる可能性が高いというわけです。
ただし、大きさの「印象」は単純な長さだけで決まるわけではありません。オオクワガタは体全体ががっしりしていて太く、見る人に対して力強く堂々とした印象を与えます。大あごや胸部の厚みもあるため、ボリューム感のある姿が魅力です。
反対にヒラタクワガタは、体が平らで横幅が広いため、「薄くて長い」という印象になります。この平たさこそがヒラタクワガタの特徴であり、木の隙間に潜り込むのに適した構造でもあります。
また、成虫になるまでの育ち方や飼育環境によっても体格に差が出ることがあり、特にエサの質や温度管理などが成長に大きく影響します。天然個体はやや小さめですが、ブリード(飼育繁殖)された個体の中には、規格外のサイズを誇るものも少なくありません。
このように、同じ「大型クワガタ」と言われる両種でも、長さ、太さ、見た目の印象は異なります。



見た目の重厚感を重視するならオオクワガタ、長さやインパクトを求めるならヒラタクワガタ、といった選び方も一つの基準になるでしょう。
幼虫の違いと見分け方


オオクワガタとヒラタクワガタの成虫は見た目に大きな差がありますが、幼虫の段階では非常に似ているため、見分けがつきにくいと感じる方も多いでしょう。
しかし、いくつかの特徴を押さえることで、ある程度は判別が可能です。
最も大きな違いとして挙げられるのが「頭部の幅と色合い」です。
- オオクワガタの幼虫は、頭のカプセルがやや大きく、色は深みのあるオレンジ色をしている傾向がある。
- ヒラタクワガタの幼虫は頭部が小さめに見え、色は明るいオレンジ色や薄いオレンジ色になる傾向。
また、体つきや動きにも微妙な違いが見られます。
- オオクワガタの幼虫は、どちらかというと丸みを帯びたふっくらとした体型をしており、マットの中であまり活発に動かず、じっとしていることが多いのが特徴。
- ヒラタクワガタの幼虫は、やや細長い体型をしていることが多い。刺激に対しては、体をくねらせるように動くというよりも、6本の足を広げて突っ張り、死んだふりのような状態になるといった独特の反応を見せることがある。
さらに、飼育環境の好みにも違いが現れます。
- オオクワガタの幼虫は、菌糸ビンと呼ばれる白色のキノコ菌を培養した容器で非常に良く育ち、大型化を狙うのに適している。
- ヒラタクワガタの幼虫は、栄養価の高い菌糸ビンでも育つが、「暴れ」と呼ばれる菌床を掻き混ぜる行動によって、かえって成長が阻害され、小型化してしまうリスクがある。そのため、飼育コストが低く、羽化不全の少ない発酵マットでの飼育がより適していると言える。
ただし、これらの特徴は個体差や飼育環境によって大きく変わることもあります。特に幼虫の段階での完璧な見分けは非常に困難であり、専門家でも判別が難しいケースがあります。
確実に判別したい場合は、幼虫が羽化して成虫になってから確認するのが最も確実な方法です。初心者のうちは「どちらか分からない幼虫を育ててみる」という体験そのものを楽しむのも、昆虫飼育の醍醐味かもしれません。
このように、幼虫の見分けは一見難しそうに思えますが、観察を重ねることで少しずつ判断力がついてきます。



成虫との違いや行動のクセも含めて、幼虫の段階からクワガタを深く知ることができれば、飼育の楽しみはさらに広がっていくでしょう。
生息域と環境の違いとは


比較ポイント | オオクワガタ | ヒラタクワガタ |
---|---|---|
主な生息地域 | 本州・四国・九州の山間部や丘陵地 | 全国の平地・雑木林・河川沿いなど |
好む環境 | 静かな広葉樹林、特にコナラ・クヌギの多い場所 | 都市近郊でも見られる比較的開けた林 |
採集のしやすさ | 山奥に出向く必要があり難易度は高め | 近場でも見つけやすく採集しやすい |
気候への適応性 | やや涼しい環境を好む | 高温多湿にも強く、南方系の亜種も存在 |
性格の傾向 | 臆病で昼間は隠れていることが多い | 縄張り意識が強く攻撃的な個体が多い |
オオクワガタとヒラタクワガタは、どちらも日本国内で見ることができるクワガタですが、実は生息する地域や好む環境に明確な違いがあります。
この違いを知ることで、より生態への理解が深まり、飼育や採集の際にも役立つ知識となるでしょう。
まず、オオクワガタの主な生息地は、本州・四国・九州の山間部や丘陵地です。特に広葉樹林の中でも、コナラやクヌギといった樹液の出る木が豊富にある場所を好みます。標高がある程度ある場所に多く見られ、人里から離れた静かな森で出会えることが一般的。
オオクワガタは臆病な性質も持っており、日中は木の洞や朽木の中に潜んでいることが多いため、なかなか姿を見せません。
一方で、ヒラタクワガタはより広範囲に分布しており、平地の雑木林や河川沿いの林など、都市近郊でも比較的見つけやすいです。特に西日本では非常に個体数が多く、沖縄や奄美地方には大型化しやすい独自の亜種も存在します。
ヒラタクワガタは気性が荒く、縄張り意識が強いため、木の根元や樹液場で他の昆虫を追い払っている姿もよく見られます。
このように、オオクワガタは「山林の奥地にひっそりと棲む昆虫」、ヒラタクワガタは「比較的開けた場所にも生息しやすい昆虫」というように、生息環境に違いが。
そのため、採集を考えている場合は、オオクワガタを探すには山奥まで足を運ぶ必要がありますが、ヒラタクワガタであれば近隣の雑木林でも出会える可能性があるのです。
さらに気候への適応力にも違いが見られます。オオクワガタは比較的涼しい環境を好む傾向がありますが、ヒラタクワガタは高温多湿にも強く、特に南方系の亜種は夏場の暑さにも耐える力があります。この違いは飼育環境を整える上でも重要で、温度管理の面でも配慮が必要です。



このように、生息域や環境に注目すると、それぞれのクワガタがどのような生活をしているのかが見えてきます。興味を持って観察すればするほど、その違いが奥深く感じられるようになるでしょう。
交雑は可能?オオクワとヒラタの関係性
オオクワガタとヒラタクワガタは、どちらも「ドルクス属」に分類されるクワガタであるため、見た目も似ており、分類学上の距離も近い存在です。
このことから、「交雑(異なる種類同士の交配)は可能なのか?」という疑問を持つ人も少なくありません。
ただし、実際のところ、両者の交雑は非常に難しく、自然界ではまず起こらないと考えられています。
そもそも、オオクワガタとヒラタクワガタは形態や性質に大きな違いがあります。例えば、オオクワガタは比較的温厚で、繁殖時にもペアリングがしやすいとされています。一方のヒラタクワガタは非常に攻撃性が強く、オス同士の争いだけでなく、メスに対しても攻撃してしまうことも。
この性格の違いが、仮に人工的にペアリングを試みた場合でも、交配に至るまでにトラブルが発生しやすい原因の一つです。
さらに重要なのは、たとえ形態が似ていても「遺伝的な距離」が存在することです。ドルクス属の中でも、オオクワガタとヒラタクワガタは明確に異なる種であるため、仮に交雑が成立したとしても、子孫ができるかどうかは不明であり、安定して子を残せる可能性は極めて低いと考えられます。
加えて、日本国内での「種の保存」や「在来種の保全」の観点からも、異種交配を試みることには慎重であるべきです。遺伝子汚染のリスクを避けるためにも、安易な交雑実験や交配飼育は推奨されていません。
このような背景から、オオクワガタとヒラタクワガタは「分類的には近い存在」でありながら、「交雑はほぼ不可能」という関係にあります。



したがって、それぞれの種の特徴や魅力を個別に理解し、尊重した飼育が望ましいと言えるでしょう。
オオクワガタとヒラタクワガタの違いはどこに?


- 寿命の違いと飼育のしやすさ
- オオクワガタとヒラタクワガタはどっちが強い?
- 値段の違いと市場価値の差
- 子供向け・初心者向けにはどっち?
- 繁殖させるならどちらが適しているか
寿命の違いと飼育のしやすさ
クワガタを飼う上で、寿命や飼育の難易度はとても気になるポイントです。オオクワガタとヒラタクワガタの寿命には明確な差があり、その違いが飼育スタイルにも大きく影響します。
まず寿命についてですが、一般的にオオクワガタの方が長生きする傾向です。オス・メスともに、成虫になってから2〜3年は生きることが可能で、中には4年以上生きる個体も存在します。
これはクワガタムシの中でも非常に長寿な部類に入ります。冬眠(休眠)する期間を含めると、飼育下では思った以上に長い期間、共に過ごせることになります。
一方で、ヒラタクワガタの寿命はやや短めです。オスの場合、成虫になってから約1〜1.5年で寿命を迎えることが多く、メスでも2年を超えるケースは稀です。体格や地域による差もありますが、総じてオオクワガタよりは寿命が短いという認識で問題ありません。
では飼育のしやすさはどうかというと、ここでも違いが出てきます。オオクワガタは性格が比較的おとなしく、ケース内で暴れることも少ないため、初心者でも扱いやすい種類です。また、湿度や温度管理もそれほど厳密でなくても順応してくれるため、飼育が安定しやすいという利点があります。
一方でヒラタクワガタは、力が強く性格も荒い傾向があるため、飼育ケース内での事故が起こりやすいという注意点があります。特にオス同士を同居させると喧嘩によって重傷を負うリスクが高いため、単独飼育が基本。加えて、温度の高い環境を好むため、夏場以外の飼育では加温が必要になることもあります。
このように、寿命が長く扱いやすいオオクワガタは、長期間じっくり飼育を楽しみたい人に向いており、ヒラタクワガタはより野性的な魅力を求める愛好者に適していると言えるでしょう。



それぞれの特徴を理解し、自分の飼育スタイルに合った種を選ぶと、クワガタ飼育がより楽しくなるでしょう。
オオクワガタとヒラタクワガタはどっちが強い?


「どっちが強いのか?」という問いは、クワガタの魅力に惹かれる多くの人が一度は抱く疑問かもしれません。
特にオオクワガタとヒラタクワガタは、いずれも力強い大顎を持ち、対決させたくなるような存在感があります。しかし、実際には「どちらが強いか」は単純には決められず、さまざまな条件や個体差が関係してきます。
まず、一般的に「戦闘力が高い」とされるのはヒラタクワガタです。顎の力が非常に強く、相手を挟み込む力においてはオオクワガタを上回るケースが多く見られます。
また、性格も非常に攻撃的で、縄張り意識が強いことから、他のオスを見つけるとすぐに戦おうとする傾向。そのため、自然下でもオス同士の争いが頻繁に見られます。
一方、オオクワガタは顎の挟む力よりも、体全体のパワーと安定感で勝負するタイプです。決して弱いわけではなく、がっしりとした体格と粘り強い動きが特徴。喧嘩を好まない性格ですが、ひとたび戦う状況になれば、持ち前のパワーで粘り勝ちする場面もあります。
ただし、こうした「強さの比較」は、あくまで同じサイズや体重、年齢条件で戦った場合の話です。実際には、個体ごとの体格差やコンディションによって勝敗が大きく左右されます。例えば、60mm台のオオクワガタと70mm台のヒラタクワガタでは、単純な体格差が結果に影響する可能性が高くなります。
また、クワガタを闘わせること自体が生体にストレスを与える行為であり、無理に戦わせることは避けるべきです。特にペットとして飼っている場合、無意味な闘争で命を縮めるリスクもあるため注意が必要です。



このように考えると、「強いかどうか」を一律で判断するのではなく、それぞれの特性を理解しながら魅力を感じていくことのほうが、クワガタ飼育の楽しさにつながるのではないでしょうか。
値段の違いと市場価値の差


オオクワガタとヒラタクワガタでは、市場価格に大きな違いがあります。
両者ともに個体のサイズや血統、産地、さらには野外採集かブリード個体かといった背景によって価格が変動しますが、一般的にオオクワガタの方が高価な傾向にあります。
まず国産オオクワガタの場合、60〜70mm程度の一般的なサイズでもペアで3,000円〜8,000円前後が相場です。しかし、有名産地(能勢・久留米・佐賀・韮崎など)の血統個体や、累代が浅く形質の整ったものになると価格は跳ね上がります。
特にギネス記録に近いサイズの個体や、人気血統を持つ大型ブリード個体では、1ペア数万円〜10万円以上という高値がつくことも珍しくありません。
一方、ヒラタクワガタは比較的手頃な価格で購入できる点が特徴です。本土産の標準サイズ(オス61〜69mm)では、ペアでおよそ3,000〜10,000円が相場となっています。ただし、対馬・アマミ・オキナワといった地域亜種になると希少価値が加わり、オス70mm以上の個体で4,500円〜7,000円程度の価格が設定されることも。
また、外国産の大型種、たとえばスマトラオオヒラタやパラワンオオヒラタなどになると、その価格帯はさらに広がります。スマトラオオヒラタの70〜74mm個体で約6,600円、100mm級では3〜4万円以上。パラワンオオヒラタに至っては、103mmのペアで12,650円、110mm超では10万円を超える例も見られます。
このように、オオクワガタは「ブランド化された人気種」であることや、改良されたブリード個体の存在によって高価格帯を維持しています。
一方のヒラタクワガタは、種類やサイズによって価格差はありますが、比較的リーズナブルで、特に子どもや初心者にも手が届きやすい価格帯が多い点が魅力です。
価格だけを見るとオオクワガタの方が高級感があり、コレクション性が高いとも言えますが、その分初期投資は大きくなります。



飼育経験や目的に応じて、価格面からもどちらを選ぶべきか検討することが大切です。
子供向け・初心者向けにはどっち?
比較ポイント | オオクワガタ | ヒラタクワガタ |
---|---|---|
性格 | 穏やかで落ち着いている | 攻撃的で気性が荒い個体が多い |
扱いやすさ | ハンドリングしやすく安全 | すばしっこく、挟むこともある |
飼育のしやすさ | 初心者向けの情報が豊富で環境構築も簡単 | 単独飼育が必要で管理に注意が必要 |
寿命 | 1~3年と比較的長い | 1~2年ほどで個体差あり |
価格帯 | ブリード個体なら3,000円前後で安定 | 一般個体は同程度だが、地域やサイズで変動 |
流通の安定性 | 流通量が多く入手しやすい | 種類が多く、入手難易度が異なる |
初心者へのおすすめ度 | 非常に高い(初めてに最適) | やや上級者向け(慣れてからがおすすめ) |
子供や昆虫飼育の初心者にとって、最初に飼うクワガタとしては「扱いやすさ」と「手に入りやすさ」が重要なポイントになります。
その点で見ると、オオクワガタの方がより適しているケースが多いと言えるでしょう。
まずオオクワガタは比較的温和な性格をしており、ケース内で暴れ回ることが少なく、ハンドリング(手に乗せるなど)も落ち着いて行いやすいです。特に子供が直接触れる機会が多い場面では、性格の穏やかさは安心材料になります。
また、寿命も1~3年と比較的長いため、長期間にわたって飼育を楽しむことができ、情が湧きやすい点も魅力。
一方、ヒラタクワガタは気性が荒めで、特にオスは攻撃的な個体が多く見られます。他のクワガタと同じケースに入れると喧嘩になりやすく、単独飼育が前提になります。
また、すばしっこく動き回る個体も多いため、扱いに慣れていないと手から落としたり、挟まれたりするリスクもあるため注意が必要です。
価格の面では、どちらも一般的なサイズであれば3,000円前後から購入できますが、オオクワガタの方が流通が安定しており、初心者向けのブリード個体も多く出回っています。これにより、入手後すぐに飼育を始められる環境が整っていると言えるでしょう。
いずれにしても、子供や初心者には「安全で扱いやすい」「飼育に必要な情報が多い」ことが重要です。



この点を総合的に考えると、初めての一匹にはオオクワガタをおすすめします!
繁殖させるならどちらが適しているか


クワガタの繁殖を楽しみたい場合、まず重視すべきは「繁殖のしやすさ」と「得られる成功体験」です。
その点で言えば、オオクワガタは繁殖の入門種として非常に人気でしょう。
オオクワガタは、繁殖のために必要な条件(適切な温度管理、産卵木、マットの種類など)が比較的明確に確立されており、情報も多く手に入ります。繁殖に適した温度帯は20~25℃前後と室内管理で十分対応可能な範囲であり、専用の産卵セットも市販されています。
さらに、メスが一度に多くの卵を産むこともあり、ブリード初心者でも成功しやすいでしょう。
対してヒラタクワガタは、種類によっては産卵がやや難しくなる傾向があります。特に本土産のヒラタクワガタでは、産卵材の硬さや水分量の調整がシビアで、条件を整えてもなかなか産卵しない個体も存在します。さらに、メスが産卵を終える前にオスに攻撃されてしまうケースもあるため、管理には注意が必要です。
ただし、ヒラタクワガタの中でもスマトラオオヒラタやパラワンオオヒラタなどの外国産種は、適切な環境を用意すれば比較的繁殖しやすい部類に入ります。ただし、これらの種は大型になるため飼育スペースや温度管理の難易度が上がる点には注意が必要です。
このように、初めて繁殖に挑戦する方や、お子さんと一緒にブリードを楽しみたい場合には、まずはオオクワガタから始めるのが無難です。しっかりとした管理体制を整えることで、次のステップとしてヒラタクワガタの繁殖にチャレンジする流れが理想的でしょう。



繁殖は簡単な反面、奥が深く、成功すると非常にやりがいを感じられる趣味になります。
オオクワガタとヒラタクワガタの違いを総まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- オオクワガタの大あごは太く緩やか、ヒラタクワガタは鋭く張り出す
- オオクワガタは丸みのある体型、ヒラタクワガタは扁平で横広がり
- 前胸部はオオクワガタが滑らか、ヒラタクワガタは角ばっている
- 色はオオクワガタが艶あり、ヒラタクワガタはマットな質感
- メスの体型はオオクワガタがふっくら、ヒラタクワガタは平たい
- メスの頭部はオオクワガタが丸く、ヒラタクワガタは平面的
- 幼虫の頭部はオオクワガタが大きく濃い色、ヒラタクワガタは小さく明るい
- 幼虫の飼育にはオオクワガタが菌糸ビン向き、ヒラタクワガタは発酵マットが適す
- 最大体長はヒラタクワガタの方が大きくなりやすい
- オオクワガタは山間部に生息し、ヒラタクワガタは平地でも見られる
- ヒラタクワガタは高温多湿に強く、オオクワガタは涼しい環境を好む
- オオクワガタは性格が穏やかで子供や初心者でも飼育しやすい
- ヒラタクワガタは攻撃性が高く単独飼育が基本
- 繁殖はオオクワガタの方が取り組みやすく成功率も高い
- 市場価格はオオクワガタが高く、希少血統では数万円以上になることもある
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